Kisui Nakazawa Project Code Name "AIDER" 世界中を恐怖の渦に陥れる新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界恐慌やリーマン・ショック以来の大幅な景気後退となる経済への影響が著しく生じ、その影響を受ける生産者は数知れずいる中、「ジャック・ラセーニュ」も例外ではなかった。本来ならばパリのレストランに出荷されるばずであったジャック・ラセーニュ「レゼルヴ・エクストラ・ブリュット」。コロナ禍のロックダウンによる影響が長きに渡り続き、一時的に行き場をなくしたシャンパーニュとなり、ジャック・ラセーニュは予期せぬ熟成期間を長く得ることとなる。 日本初リリースとなるシャンパーニュ「ジャック・ラセーニュ」を日本から世に出すためにプロジェクトチームを発足し、コードネームは「AIDER(エデ)」と名付けた。誇り高きシャンパーニュの生みの親エマニュエルの信念を胸に、シャンパーニュ愛好家でもあるチームメンバーたちの熱き戦いが始まる。プロジェクトチームは、資金調達・企画・制作・営業・広告・販売など、それぞれの分野に長けたメンバーが揃い、綿密な計画が立てられていく。 ENCOUNTER フランスと日本の架け橋となるよう、「せっかくならば日本らしいオリジナルラベルでリリースしよう」と、そこには、書道家として活躍する中澤希水(Kisui Nakazawa)に白羽の矢が立ち、彼が初めて「ジャック・ラセーニュ」に触れる日を迎えた。 書道家 中澤希水 Kisui Nakazawa Profile 中澤希水(Kisui Nakazawa)1978年1月6日生まれ。大東文化大学文学部中国文学科卒。希水會主宰。書道家の両親の元に生まれ書を始め、古典に立脚した伝統的な書を学ぶ。2014年第9回手島右卿賞受賞、2016年(平成28年)浜松市親善大使「やらまいか大使」に就任。ドラマの題字、書道監修やロゴ、書道教室など数多くを手掛ける書道家。【中澤希水 instagram】https://www.instagram.com/kisui_nakazawa/ フランスには並々ならぬ思いもある希水氏。まだ書道家としての未熟さを感じていた若かりし頃、従来の書道家のイメージを覆し、自分らしい表現の世界を築いていきたいと、自身の知見を広めるために一路フランスへ渡る。異国の地であるその風土から得た豊かな感性を大事に育み、その頃に得た表現力を今の書にも大切にしていると云う。 フランスで過ごした日々を思い、縁のあるフランスと自国日本を繋ぐその橋渡しの中で、「自分の力が発揮できる場」として思いを馳せ、そのシャンパーニュに触れた折、ふと湧いたインスピレーションから筆を執ることを決意する。世に出るその日を心待ちにする一本に命を吹き込むために。 自然を愛し、モングーのテロワールをありのままに表現したいと願うエマニュエルのように、希水氏の筆の始まりは力強く、流れるようにしなる筆は極めて自然な動きを示している。 それはまるで、「ジャック・ラセーニュ」のきめ細やかな泡が繊細に幾重にも立ち上がる様を映しだすかのように、とても自然に。 軽快にしなる筆先。不規則な線を描いているように見えても、一糸乱れぬ動きからは圧倒的な力強さを感じ、何層にも重なり合う姿は、豊かな複雑味をも彷彿とさせる。その全てが「ジャック・ラセーニュ」のように。シャンパーニュでありながら、日本で初リリースするという試みに、デザインを担当するチームメンバーから平仮名を起用することを伝えると、一種の芸術作品とも取れる美しい佇まいの「じゃっくらせーにゅ」が浮かび上がってきた。日本の古き良き文化を大切にしていきつつも、新たな分野を確立したいと常日頃から念頭に置く希水氏にとって、この平仮名の起用は、とても親しみのある文字でありながら、新たな分野への挑戦でもあった。フランス語から平仮名への変換。そこには、完成に至るまでの苦労を思わせる夥しい半紙の数。集中力を高め、想像力を豊かに、歴史あるこの書道の文化を現代の世界に寄り添えるものにしていくと心に決めた、その思いを胸に。描く書に心が宿るその瞬間を待ち、何枚も何枚も書き下ろして完成させた。 こうして誕生した「ジャック・ラセーニュ」と書道家:中澤希水とのコラボレーション・シャンパーニュは、フランスから渡り日本にて、リリースの日を華々しく迎えようとしている。予期せぬ熟成期間を得たことにより、プレステージュシャンパーニュを想わせる熟成感の完璧なバランスが生まれた。中澤希水氏が加わったプロジェクトチームの手によって新たな命が吹き込まれ、「ジャック・ラセーニュ」の作品としては日本初入荷のキュヴェとなる。